「やればできる」という言葉の真実
有名な某塾のCMなどで使われる“やればできる子、YDK”という印象的な言葉があります。
保護者の方と話をしていても「うちの子、勉強はやればできるんですけどね」という相談はよく聞きますし、生徒の中にも「自分はやればできる」と思っている人はきっといると思います。
確かに、勉強は「やればできる」ようになります。なので、YDKという言葉は正しいと思います。
しかし、“やれば”という部分に、やることが簡単そうなイメージを含んでいるので、間違った認識を生んでいる部分があります。
勉強において、“やる”というのが一番難しいことであり、大変なことなのです。
なので、正しくは
「やればできる(ただやるのがめちゃくちゃキツいだけどね)」
です。
勉強を“やる”とは
さて、勉強において“やる”というのが一番難しくて、大変だと言いました。では、勉強を“やる”とは、何をしなければいけないのでしょうか。
第一に、勉強は片手間にできません。テレビを見ながらやスマホをいじりながら、勉強することはできません。
自分が勉強に集中できる環境を作ること、誘惑の多いこの時代にその環境を作ることがまず大変です。
第二に、勉強は1度やっただけでは決してできるようになりません。何度も反復したとしても、人は簡単に忘れてしまいます。何度練習したとしても、テストで点数が取れるようになるとは限りません。
だから、成績と勉強量は比例しないことがとっっってもキツイです。
勉強に本気で向き合っている子は、悔しい思いを何度も味わっています。
この事実を痛いほどわかっています。
だから、成績のいい子は「これだけ勉強しても、まだ足りない」と常に思っていると思います。
“やる”ことの大変さや難しさを知っているからこそ、結果を出し続けている人は「やればできる」なんておこがましいことは言わないのです。
逆転合格より立派なもの
奇跡の逆転合格、学年ビリから○○大学合格と聞くと、何かキラキラしたものを見たように感じます。すごいなって思いますよね。
でも、そういう逆転合格より、受験生になる前からコツコツ積み上げていて、ずっと安全圏で危なげなく合格する方がよっぽど褒め称えられるべきで、立派なものだとは思いませんか?
確かに、逆転合格のような派手さはありません。むしろ地味。
それでも、逆転合格に憧れるより、先を見据えて早いうちから積み上げるべきものを積み上げておいて欲しいのです。受験生になるまでに、勉強を“やれる”ようになっておいて欲しいのです。
中3になったからと言って、自然と受験生になるわけではありません。
今まで、何にも積み上げてこなかった人、つまり勉強を“やってこなかった”人は、勉強が“できない”のです。
なぜなら、前半にも述べた通り、勉強の大変さと難しさをわかっていない人は、そもそもの勉強の仕方、何をどれだけやらねばならないか、どれくらいやれば覚えられるか、そういうのがわかっていません。
そういう経験をしたことがないから、勉強していても効果が表れにくいのです。勉強“やる”子は5時間やるところを、1時間で勉強やった気になっているなんてこともあります。
そして、そういう子に限って「勉強やっているのに、結果がでない」って言うんですね。
なので、これに対しては冷たいように感じるかもしれませんが、「今まで勉強に本気で向き合ってこなかったからだよ」としか言えません。決して見放しているわけではありません。
その子が、本当の意味で「勉強をやる」とはどういうことかを理解し、本気で勉強と向き合い、自分の中の勉強の質と量の基準をあげて、しかもそれを継続して、やっと結果として現れます。
いきなり“できる”ようになんてならないわけです。受験の必勝法とは、地道にずっとやり続けることにほかなりません。
「やり続けるからできる子、YDK」を目指して、今日も頑張りましょう。