前回に引き続き、「科学的根拠で子育て」の中で、TOP生にも知っておいて欲しい情報をまとめていきます。
今回のテーマは【男女別学か、共学か】です。
以前のTOP-TIMESで記事にもしましたが、埼玉県は全国でも男女別学の高校が多いことで知られています。
そして、上位の高校になると、男女別学でもいいか、共学じゃなきゃダメかで、選択の幅が大きく変わります。
特にこだわりがない人も多いかもしれませんが、中室さんは男女別学を選択した人と共学を選択した人が統計的にどんな将来に進んでいるかを研究していますので、抜粋して紹介していきます。
東大進学者は男女別学に多い
全国5000 校弱ある高校の中で別学はたったの350校余りしかありません。
埼玉県の教育委員会も、公立の男子校・女子校はなくしていくと決定しましたし、ここ数十年で別学の数は著しく減少しています。
しかし、
東京大学への進学者数を見ると上位30校中19校が別学であり、
別学の勢力というのは衰えるどころか増しているようにも見えます。
ここで気になるのは、「別学に通うと学力・学歴はよくなるのか」ということですね。
結論は、男女別学の方が優勢でした。
ここで、本のデータを抜粋します。
2005年のアメリカの研究の結果によると、「この男子校に行けば成績が上がる」という因果関係は確認できませんでした。つまり、別学に通う生徒の学力が高いのは、別学に通ったからではなく、もともと学力の高い子が別学を志望することが多かったということになります。ただ、その研究の中でも、因果関係がなかっただけで、最終的には“わからない”と結論付けられました。
そこから、2009年の韓国の研究ではこれを覆す統計が取られました。研究の詳細は割愛します(本の中では詳細に書かれています)が、その子の家庭環境や学力も完全にランダムにした場合、別学の方が4年制の大学進学率が高く、共通テストの偏差値も別学の方が高くなっており、つまり「別学の方が、共学よりも学力を向上させる」という相関がみられたのでした。
その理由の仮説として挙げられているのが、同性の教員がロールモデルとなり、生徒の学力や学歴にいい影響を与えたというデータが多数あることや、ステレオタイプ(多くの人に浸透している先入観や偏見、差別などの固定概念)に影響されにくいというデータです。
よく一般的に言われる、異性の視線を気にせずに…というのは”学力向上”にも一役買っていると言えますね。
ただ、別学が学力・学歴にいい影響を及ぼすというデータがある一方で、それが将来の年収や家族形成にまでいい影響を及ぼすかどうかは今のところわかっていません。幸せの価値観も人それぞれですから、その点にも注意しましょう。
浦和一女 < 浦和 ≦ 横浜翠嵐 ≦ 日比谷
ここで話は日本に戻ります。これは以前も紹介したデータです。
高校名 | 2024年度 東大合格者数 |
浦和一女(埼玉No.2公立・女子校) | 2人(内現役1人) |
浦和(埼玉No.1公立・男子校) | 44人(内現役25人) |
横浜翠嵐(神奈川No.1公立・共学) | 44人(内現役37人) |
日比谷(東京No.1公立・共学) | 60人(内現役52人) |
日比谷や横浜翠嵐も昔は男子校でしたが、今は共学で、浦和高校よりもレベルの高い合格実績を出しています。
この事は、本の中で紹介されていた通り、共学や別学関係なくその地域の優秀な子たちが集まっているからと結論付けて問題ないでしょう。
高校には、それまで大事にしてきた校風や伝統があります。
なので、別学だから嫌だとかと決めつけずに、自分に合う校風か、授業内容はどうかなどを判断して欲しいと思います。
男女別学の魅力は?
男女別学は淘汰されていく時代の流れですが、別学の価値も本の中では根拠をもって語られていました。
いろんな意見があるとは思いますが、
今は人生100年時代。
その大半を性別で区別されることなく、男女で共同生活を過ごします。たった3年間ぐらい異性の目を気にしない生活・環境があってもいいじゃないかとも僕は思っています。