「思考力」の低下の原因
昨今、小・中学生の考える力「思考力」の低下が問題視されています。僕も、教育を生業にしていますから、この問題は決して無視できません。
実感として確かに考えることが出来ない子が急激に増えているように感じます。
先生をしていて一番される質問は
「今日、何日?」です。
カレンダーを自分で見ればわかることなのに、、、思考停止してしまっている人の典型例とも言えますね。
では、なぜ考えることができない子が増えているのでしょうか。
それは、「考えなくても生きていける世界」になったからではないでしょうか。
YouTubeやTikTokがいい例です。動画を見ているときは考えなくても情報が視覚的に入ってきて、自分の好みが分析されて興味を引くコンテンツを勝手に提示してくれます。考える余地もなく情報が流れてくるのが現代です。
さらに、君たちにとって障壁となりそうなことはあらかじめ教えたり、丁寧に説明したりして、“答え”を提示してくれることに気づいていますか?わからないことはスマホですぐに調べられるし、聞けば大人も丁寧に教えてくれることでしょう。
世の中が便利になっているのは素晴らしいことですが、それが君らの思考力を奪っている事実を理解しておかなければなりません。
人は、元来「考える」生き物です。「考える」ことで人間らしさを持ち、よりより人生を生きることができ、考えていないのは、ただロボットですよね。
ただ、子ども達の「思考力」の低下をほったらかしにするほど、日本の教育は廃れてはいません。最近の入試問題の傾向を見ればわかるように「思考力」を問う問題が増え、自分の考えを述べないといけない入試形式も増えています。
世の中の流れに逆らいながら、君らは考える力を鍛えていかないといけないのです。
「答えを見たら負けだと思うから。」
思考力の重要さと危機感について述べました。では、どうすれば考える力をつけることができるのでしょうか。
答えは簡単で、「常日頃から頭を使って考える」ということが必要です。
「今日、何日?」と聞く前に自分でどうすればいいか考える、そういう癖を日ごろからつけないといけません。また、考えるためには、考えるための道具《言葉》を知っていなければいけません。
読書は、語彙を増やすという意味でも、文字から状況を想像したり、感情を考えたりする意味でも、頭を使う訓練になります。文章を読むという習慣もつけていきましょう。
浦和高校に進学した先輩が後輩たちに勉強法のアドバイスをしてもらう機会があった時、
彼は「答えを見たら負けだと思って勉強していました」と、言いました。
解説を見れば一発で解決できる問題でも、何時間も頭をひねって考えることもよくあったと振り返ります。こんな風に粘り強く考えることができない人は非常に多いのです。
考える力をつけるには、1つの問題を試行錯誤する「思考体力」も必要になっていきますから、1つの問題に対しても、安易に答えを求めるのではなく、自分の力で答えを出すことにこだわるのがいいでしょう。
「割合の根本を理解していれば、ほとんどの数学や理科の公式はいらない。」
お茶の水女子大附属高校に進学した子が僕に言った名言です。この言葉は目から鱗でしたね。
割合の概念を理解しているからこそ言える言葉で、本質をついています。公式というのは頭を使わないで答えを出す非常に安易なテクニックです。
「みはじ」「くもわ」というのは君らも使ったことがあるでしょう。
しかし、その理屈を理解して使えているでしょうか。もちろん、便利なので使うなとは言いませんが、諸刃の剣です。
闇雲に使うのではなく、なぜその公式が使えるのかっていうのも同時に考えられる人であってほしいと思います。
考える=予想をする・想像をする・試行錯誤をする
考えるというのは、自分なりの予想を立てることであり、こうしたらどうなるのかなと想像することであり、その中で成功や失敗を繰り返す中で、試行錯誤していくことです。
勉強だけでなく、普段生活していく中でも、絶対的に必要なことのはずです。
だからこそ、最後に、EIMEI-TOP専属の数学行使ASKの代名詞でもある言葉を心にとどめておきましょう。
「考えるのをやめてはいけない」