10/1。こんなニュースが飛び込んできました。
私立高校奨学金の可否に「業者テストの偏差値使わないで」埼玉県通知(朝日新聞) – Yahoo!ニュース
私立高が業者テスト偏差値で合格や奨学金「確約」 埼玉県が全校調査(朝日新聞) – Yahoo!ニュース
以前、TOP-TIMESでも取り上げましたが、
埼玉県の私立高校では、北辰テストという模試と通知表の内申点の結果で、事前に合格が決まる制度が暗黙の了解として成り立っています。
詳細は、コチラのブログをご覧ください。
以前から問題視されていた、埼玉私立高校の確約制度ですが、
今回のニュースは、その”確約制度”の是非が問われているという内容です。
簡単にまとめていきます!
私立高校の「特待生給付」問題、波紋広がる
ことの発端は、埼玉県内の一部私立高校が、特待生に対して「合格確約」とともに100万円を超える奨学金を給付している件でした。
これまでの奨学金制度では、家庭の所得に応じて補助金が支給される場合、給付額からその分を差し引く形が一般的でした。
しかし、補助金の有無に関わらず入学金や授業料相当額をそのまま支給する「給付型奨学金」という仕組みは、条件次第では「家庭が儲かるケース」も生まれる可能性があります。
埼玉県では、成績上位層の多くが依然として公立高校を第一志望としている傾向があり、そのため、私立高校が特待制度を提示しても、実際にそのまま入学するケースは少ないのが現状です。
今回の「給付型奨学金」は、そうした流れを変えるための一手と見られています。9月末にはこの件が報道され、文部科学大臣の会見でも言及されました。
文科省・県の対応と実態調査
文部科学省は、「業者テストの結果を基に入学者を選抜することは不適切」との従来方針を改めて示しました。
現在、埼玉県が全私立高校を対象に調査を実施しており、
- 特待判定に業者テストを使用していないか
- 生徒や保護者にテスト結果の持参を求めていないか
など十数項目について回答を求めています。
県は10月6日付で「速やかな改善を求める通知」を送付し、14日までの回答期限を設けました。
短期間での調査依頼からも、県がこの問題を重大視していることがうかがえます。
確約制度はなくなる!?今後の見通しは…。
今回の対応により、北辰テストなどの業者模試を使った確約制度が制限される可能性も出てきました。
もしそうなれば、北辰テスト受験者数が減少したり、内申点重視の傾向が強まったりと、
埼玉独自の併願・確約文化に大きな影響を及ぼす可能性がありますね。
もっとも、この確約制度がなくならなかったのは、生徒ー保護者ー高校と、3者にメリットしかなかない制度だったからです。北辰テストという民間業者の模試がここまで幅を利かせているのも他県から見たら異様なことなのですが、数十年この制度が成り立ってきました。
なので、県単独で制度を大きく変えるのは難しく、最終的には国の判断に委ねられる部分も多いかもしれません。
塾の先生としては…
ここからは、完全に個人的な意見です。
僕は、この確約制度は無くなるべきだと思ってきました。
試験前に合否が決まっているからこそ私立入試の消化試合感、生徒の確約取得後の学習意欲低下、私立志望者が理社の勉強を軽んじる風潮などは、先々の大学入試などを考えた時に良くないことだと考えているからです。
とはいえ、生徒も保護者が安心して私立受験を迎えられなくなるのは、埼玉で長く受験を見てきた者としては非常に不安です。
今の制度もうまく残しつつ、模試を補助的な指標とする形での共存を模索してほしいところです。
早くて来年には、大きな変更があるかもしれませんが、今すぐに何かが変わるわけではないでしょう。
しかし、私立の動向が大きな転換点を迎えているのは確かです。
今後の発表に目が離せません。