「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」(孫氏の兵法より)
中3年の2学期以降、公立・私立ともに過去問や実戦形式の模試を解く機会が増えていきます。
過去問や模試は、その学校に受かるために何が必要で、自分に何が足りないかを分析するために一番役立つツールです。
自分が受ける学校の過去問を解くことは、傾向と対策を練るために非常に役立ちます。
さらに、自分が受ける学校以外の過去問を幅広く解くことも、難問や傾向の変化への対応力を磨くことにつながるため、有効です。
ただ過去問や模試は授業で扱うこともありますし、闇雲に解くのではなく自分のレベルにあった問題を解く必要性があるため、必ず担当の先生に確認をしましょう。
そのうえで、以下は過去問や模試をやる際に絶対に心がけて欲しい注意事項です。
① 集中できる環境で、周りで喋っている人がいない環境で解く。
② できる限り、本番に近い形式で時間を測って解く。
③ 記述式の採点は、自分の感覚に任せない。
④ 部分的に解くのは禁止
⑤ 間違えた問題は解き直しノートにまとめていく。類題を探して解けると、なおいいです。
①②に関して、音楽を聴きながらやることや机に試験でいつもおかないもの(スマホ、飲み物など)を置く、リビング(誰かに話しかけられやすい環境)でやるなど、よくやりがちですので、絶対にやめてください。
④1つの過去問をちょっとだけ解いてみるって人がいます。絶対にやめたほうがいいです。部分的に解いて、その問題が解けたかどうかに意味はありません。入試問題には時間制限があり、その時間内で何点取れたかが重要です。
⑤解いた模試や過去問は、教科ごとにまとめたりして保管するようにしましょう。また、解き直しや知らなかった重要なポイントなどは1冊のノートにまとめておくことで弱点ノート、つまり自分だけの“参考書”が作られていきます。そして、苦労して作ったノートや過去問集は、きっと受験を終え振り返った時、自分だけの宝物になっているはずですよ。
「本番を見据える」ということ
2学期以降、模試を受けていく機会が増えると、その判定結果に振り回される受験生が毎年います。
しかし、模試の判定がいくら良くても、入試本番で点数を取れなければ落ちます。その反対に、判定がいくら悪くても本番で点数を取れれば受かります。
模試の判定や偏差値は参考にはするべきですが、そこまで重くとらえる必要はありません。
その代わり、過去問を解いたときの、その学校の《合格者平均点》は強く意識しましょう。
その合格者平均点は、“ボーダー”とも呼ばれ、ボーダーを越えれば合格に一歩近づきますし、満たなければ、どうすればそのボーダーを越えられるか、日々の勉強の作戦を変えたり、弱点補強に努めたりする必要があります。
受験校の《合格者平均点》はいち早く把握しましょう。
入試本番は、いつも通りの力を発揮することなんてできません。緊張感は模試や普段やる過去問とは異次元ですし、冬の寒さ、手のかじかみも君たちに襲い掛かります。
また、忘れ物、体調不良などハプニングから来る焦りなどは本番にはつきものです。したがって、入試本番は自分の実力の“良くて”90%ぐらいしか出せないと思っていましょう。そのために、自分の実力の90%でも受かるように、自分を高めていく必要があります。
また、本番の焦りは、偏差値を10以上下げるものです。学力的には余裕をもって受けに行った人が不合格になる原因がたいてい焦りです。したがって、焦らないようにメンタルを鍛えていくことも、重要です。
そのための過去問や模試だと思って、入試本番を見据えましょう。